わたしたちは「シリカ(SiO2)」を主成分とする物質に興味を持っています。地球を構成する元素のうち、酸素は最も多く、ケイ素は2番目に多いためです。また、シロキサン結合(-O-Si-O-)の結合角がフレキシブルであるために、できあがる構造とかたちは多種多様です。例えば、構造は細かい分子レベルの穴が多数あいている(多孔質)シリカを合成できますし、大きさが揃った球状粒子も合成によって得られます。わたしたちはこの特徴に興味を持って、吸着剤や触媒の担体などに応用しようとしています。取り扱う物質は、決して新しいとは言えないですが、シリカは地球上にありふれた物質なために、これに接する、あるいは関連する自然現象は数多いです。それらの自然現象を理解し模倣しながら、新たな材料の機能を創造することが、とてもおもしろい。
無機中空微粒子は新しいタイプの機能性材料として期待できます。当研究室では、直径サブμmから数μm級のシリカまたは有機シリカ中空粒子を合成し、その特徴について研究しています。
わたしたちは、水に溶解する有機分子の吸着に興味をもっています。環境中の有害物質を除去するという環境浄化だけでなく、最近では、飲料応用(カフェインレス)、発光材料、酵素のような高活性触媒などにも応用可能です。
ナノシートの実用性を高めるには、その「かたち」を整えることが欠かせません。「かたち」はマル、板、棒など様々です。身の回りの材料は、この「かたち」の組み合わせではないでしょうか。私たちは大きさのそろったマルのシリカ粒子表面で層状のケイ酸塩(ナノシート)が結晶成長することを発見しました(J. Phys. Chem. C, 116, 21864-21869 (2012))。 不思議なことに表面にあるナノシートは、水に浸しても剥がれてくることはありません。この現象を応用して、高性能なカラム充填剤や化粧品顔料などに応用する研究を進めているところです。
我々の興味は、自然現象を理解し模倣することです。そのために、無機化学や有機化学といった分野にとらわれず,多岐に渡っています。目的実現のため実務的なテーマから,基礎的なテーマまで,チャレンジングなものも含めたくさん用意しています。また,物性の評価には多くの装置や機器を用いるため、将来技術者を目指す方にとっても有意義であると思います。好奇心旺盛な研究生のご来研をお待ちしています。