配属前の学生が研究室見学に来られます。そのとき「研究室の雰囲気」に関心が集まります。所属メンバーに直接聞いていただくのが一番伝わりますが、ある研究会の記事に、当研究室の様子として岡田が寄稿していますので、下記そのまま転載します。
『在籍メンバーは学部修士問わず個性派揃いである。価値観が多様であるといっても良いであろう。13人いれば13通りの考えがある。「集まり散じて人は変われど」的な雰囲気が醸し出され、年度毎にまたメンバーによって千変万化の研究室である。一方、研究活動に対しては人生の目的でなく方法の一つであるという価値観は普遍的かつ共通のようである。したがって、各自の目的意識が希薄であれば得られるものは何もない。ある年の学生メンバーから、このように総括された。研究室を踏み台にして、各自の将来につなげていこうということであり、頼もしい限りである。 研究の進め方はオーソドックスである。週1回ずつセミナーと研究打ち合わせを行う。前期のセミナーは文献購読であり、後期では総論ゼミと称し、各自の周辺領域の論文を漁り、研究の新規性を論理的かつ系統的に説明するため、整理する。原著論文の緒言の一翼を成すので、基礎調査ともよんでいる。後期のセミナーは筆者もない知恵を絞り戦略的に計画する。国際会議で成果発表するには、原著論文の投稿を条件としているので、意欲のある者は、このセミナーの準備に余念がない。研究打ち合わせは、2グループにわけて毎週行っている。(中略) 学部生であってもできる限り院生とテーマが重複しないようにしており、打ち合わせではスタッフ院生学部生はみな対等の立場を基本としている。打ち合わせでは、研究の進捗状況を整理することが一つの目的であるが、今後の方針について、短期的および中長期的に提案(備品の調達希望等を含め)できるようにすることを意識しているつもりである。院生が受け身であるか否かで、打ち合わせの雰囲気は随分と違う。受け身にならないことを意識している者は、学部生であろうがセミナーや打ち合わせでの発言に遠慮がない。 研究室のルールは、スタッフの助言を基に修士課程メンバーが策定する。コアタイム不要論を唱えるのは筆者のみで、毎年却下される。その理由は、コアタイムがないと特に後輩に対する技術的な指導が非効率になるためであるという。(中略) また、精神面を含めた個々の健康状態のチェックも所属メンバー全員で可能となるので、いまのところ合理的であるからしばらくは存続するであろう。いずれにしても先輩が後輩を守る雰囲気があれば、自主性の高さは持続するであろうと思っている。』